オムニチャネル戦略のメリットとは?4つの成功事例とともにご紹介!

Jul, 18, 2023

近年、多くの企業において、実店舗やECサイト、スマホアプリなど、いくつもの販売チャネルが展開されています。本記事では、インターネットの普及によって多様化する、企業と顧客のタッチポイント「オムニチャネル」が何であるのか、オムニチャネル戦略のメリットや成功事例についてご紹介します。

オムニチャネルとは

オムニチャネルとは、「すべて(Omni)のチャネル(Channels)」を意味し、オムニチャネル戦略とは、実店舗やECサイト、メールやスマホアプリなど、企業のあらゆるチャネルを通して顧客の関心に基づいてパーソナライズされた顧客体験を行うことを指します。

チャネル間の境界を取り除き、すべてのチャネルをひとつのシームレスな顧客体験として統合することを目的とします。つまり、「顧客が各チャネルの違いを意識せず、いつでもどこでもスムーズに商品を購入したりサービスを受けたりできる状態を作ること」です。

例として、「実店舗でサイズが見つからなかった商品を店員が手持ちのタブレットからネットショップにアクセスして顧客のサイズの在庫を確認し、後日商品が届くよう手続きする」「来店時やスマホアプリログイン時に貯まるポイントを実店舗で利用できる」といった仕組みがあげられます。このようにチャネル間でのデータ連携を活用したサービスを提供することで、顧客はシームレスに各チャネルを行き来し、一貫した顧客体験(CX)を得ることができます。

※顧客体験(CX)の向上に関する記事はこちらよりご覧いただけます。

O2O(Online to Offline)という言葉もありますが、これは「オンラインからオフライン」あるいは「オフラインからオンライン」に顧客を誘導する手法を指します。例として、実店舗を持つスーパーが、ネットスーパーで割引クーポンなどを提供することや、位置情報サービスを活用して、積極的に店舗の認知や直接の来店を促すことが挙げられます。

一方、オムニチャネルは「実店舗とネットショップの境をなくした販売戦略」です。オムニチャネルは顧客に購入経路の誘導を行うことはせず、顧客に選択を委ねます。したがって、オムニチャネルとO2Oの違いは、「誘導の有無」となります。

なぜオムニチャネルが注目されるようになったのか

オムニチャネルの台頭はスマートフォンの増加がきっかけと言われています。スマートフォンを持った顧客は、店内でショールーミングをしたり、後日モバイルデバイスを使用して、より低価格の製品がないかどうかをWebサイトから情報収集し、安価なオプションを購入しています。スマートフォンの販売が従来のガラパゴス携帯の販売に影を落としたため、ショールーミングは増加し続けており、より多くの小売業者が顧客の体験を効率化し、顧客満足度を向上させて、他者との差別化を図るために、オムニチャネルの実践を推進しています。(2013年のハフィントンポストの記事を参照)

これとは逆の「ウェブルーミング」という消費行動も行われます。こちらはSNSやECサイトを利用し、商品やサービスを他サイトと十分に比較検討したうえで、実店舗にて購入するといったものです。この消費行動に対するアプローチに関しては、顧客を実店舗へ誘導するフローをとることができるため、こういった場合にもオムニチャネルは有効であると言えます。

オムニチャネル戦略を行うメリット

オムニチャネル戦略を行うことで、企業も顧客もメリットを享受することができます。

<顧客のメリット>

・シームレスな顧客体験、店舗体験
LINNWORKSの調査によると、顧客の約3分の2が、利便性と購入のしやすさを購入の意思決定の上位要因と考えています。スムーズなショッピング体験を提供することで、「店舗在庫がなくてネットで改めて探す必要がある」などの注文への障害を取り去ることで、購入まで繋がりやすくなります。

・パーソナライズされたサービス
顧客の行動や嗜好に関する豊富なデータ(過去に購入したものやお気に入りをつけたもの)を得ることで、より顧客の好みに合った商品がレコメンドされ、顧客は欲しい商品を見つけやすくなります。

・企業との連絡が取りやすくなり、問題解決しやすくなる
何か困ったことが起きた際にも、企業と連絡を取る手段が増えたことで、これまで以上に問題解決できるまでのスピードが早くなります。

 

上記のような顧客のメリットがあることで、企業は自然と以下のような成果を得ることができます。

<企業のメリット>

・ブランド認知の向上
顧客が自分の体験を口コミサイトやSNSなどで共有することを促すことで、ブランド認知度が高まり、新たなオーディエンスにリーチすることができます。

・LTV(顧客生涯価値)の向上
ブランドと顧客間のコミュニケーションを効率化することで、リテンションを向上させ、ショッピングをより簡単にすることで、顧客は購入回数を増やし、長期にわたってより多くの消費活動をするようになります。

・収益の増加
上記のLTVの向上に伴い、収益も自ずと増加します。

 

複数のチャネルで顧客にシームレスで便利なショッピング体験を提供すれば、その見返りとして多くの利益を得ることができます。

また、実店舗やECサイト、SNSなど、各チャネルにおける顧客の消費行動を一元管理することも重要なポイントです。チャネルを組み合わせることで、相乗効果を生み、自社のブランド価値を上昇させ、リピーターやファンの新規創出や増加に繋げましょう。

 

オムニチャネル戦略を実施した企業の成功事例

1. Walmart(食品/小売)

ウォルマートは、オンラインショッピングやモバイルアプリを提供し、それらと店舗との組み合わせにおいて、シームレスな体験を生み出しています。

商品をオンラインで閲覧し、注文することを可能としたり、オンラインで注文した商品を最寄りの店舗で受け取ることができるサービスも提供しています。

また、顧客の購買履歴や思考を分析し、パーソナライズされた商品の提案やオファーの提供を行っています。

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2. Disney(サービス業)

“ディズニーはオムニチャネル体験を細部に至るまで正しく理解している。”とHubspotが述べているとおり、ディズニー訪問者の体験はウェブサイトから始まり、旅行の細部まで計画できるMy Disney Experienceツールへと移ります。

パークに到着すると、アプリを使って乗り物やアトラクションを調べ、人気の乗り物の待ち時間を確認することができます。また、それだけではなく、 MagicBandというリストバンドを用いることで、以下のようなことも可能としています。

  • ホテルの部屋の鍵を開ける
  • パークへの入場
  • 乗り物のファストパス入口でのチェックイン
  • 写真を撮る
  • ホテルの部屋に食べ物やグッズをチャージする

このようなシームレスな体験を提供していることも、ディズニーの高い顧客エンゲージメントに寄与しているのではないでしょうか。

3. Sephora(化粧品/小売)

Sephora(セフォラ)は、オンラインと店舗での体験をうまく融合させています。実店舗では、美容に関するヒントやさまざまな美容品に関する情報を把握した販売員による接客、無料で行われるメイクアップなど、一貫したブランド体験ができます。また、オンラインマーケティングとモバイルアプリを完全に統合し、顧客はチュートリアルビデオや美容に関するニュース、ファッショントレンド情報、新商品発表会などをすべてスマホで入手できるようにしています。このような体験を顧客に提供することで、このNo.1と呼ばれる化粧品小売であるSephoraはモバイル注文を約100%増やすことに成功したそうです。

4. Starbucks(飲食/小売)

スターバックスのリワードアプリでは、アプリユーザーは近くの店舗を検索し、モバイルオーダーすることができます。先に注文、支払いを済ませることができるため、行列に並ぶ必要がなくなります。また、顧客はスターバックスのアカウントに簡単にお金を追加することができ、無料の食べ物や飲み物など、長期的なロイヤリティ割引を利用することができます。

starbucks

まとめ

あらゆる場面において、顧客体験は重視されています。顧客体験をより良くするための一つの手段として、オムニチャネル戦略について考えてみるのはどうでしょうか?

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