【Retail AI Expo 2022 レポート】ベイシアEC戦略に必要不可欠となる商品マスタデータの重要性

Feb, 27, 2023

リアル店舗を展開してきた小売企業にとって、EC事業を展開することが当たり前になった現在。従来の店舗とECサイトに求められる商品情報の違いに苦戦しておられる企業様も多いのではないでしょうか。2022年11月16日-18日にパシフィコ横浜で開催されたRetail AI Expoにて、Lazuli PDP®️導入によりECサイトでの売上アップを実現された株式会社ベイシアの戸枝氏をお招きし、弊社執行役員の北庄司と、商品マスタデータを改革する重要性について語り合いました。

ベイシア様のOMO施策について

戸枝:株式会社ベイシア(以下ベイシア)でEC部の部長をしている戸枝です。ベイシアは、群馬県を中心に1都14県に136のリアル店舗とEC事業を運営するショッピングセンターチェーンです。私はベイシアの商品部いたのですが、現在はEC事業を担当しています。様々なデジタル施策を立案・実行しているのですが、デジタルの施策の中の一つがこのOMO施策で、その中でもこの3つが中心になります。

戸枝:一つ目が『アプリご予約』というものです。2020年12月にベイシアアプリを立ち上げました。そのアプリの機能の一つとして入れたのが、『アプリご予約』です。ボージョレ・ヌーヴォ、クリスマスケーキ、おせちなどの季節の商品をアプリからお客様が直接注文できる形に変えました。

またOMO戦略の2番目の『モール出店』ですが、ベイシアは”楽天市場”と”Yahoo!ショッピング”に出店しています。
そして最後の一つが『ネットスーパー事業』です。これは楽天の”楽天全国スーパー”というネットスーパーのプラットフォーム事業を活用しています。ベイシアが日本で最初に手を挙げ2022年の1月に始めたのですが、現時点で12店舗にまで伸びています。

 

Lazuli PDP®️を採用した理由と導入効果

戸枝:『モール出店』における戦略領域を絞って展開しようと決めたときに、その戦略領域については深いところまで品揃えをしようという事になりますが、その際、問題になったのが商品登録でした。今までリアル店舗でしか販売してこなかったので、EC用の商品情報を何も持っていなかったのです。中でも、一番困ったのが商品説明文でした。リアル店舗では実物を見れば「これがお水だ」とかわかるので商品説明文は必要なく、ベイシアはこれまで商品説明をマスタの中に入れてこなかったのです。この商品説明文がないままだとECだと全く売れない、そもそも検索にも引っかからないので、困ってしまいました。

リアル店舗は極端にいうと商品名と規格と売価だけがあればいい。ですがECだと検索に引っかからないと売り上げにはならないので、商品説明文やタグが必要になってきます。

最初は左側の状態でした。この状態からECで売るためには右側の状態まで持っていかないといけない。ここで困るのが、なんのタグをつければいいのかということです。過去に商品部部長を務め、商品知識があった私ですら難しく、この仕事のためだけに、商品知識がある人ばかりを集めるわけにもいかないので、そこから色々なソリューションを探し始めました。

商品マスタを整備するためのサービスはたくさんあるので、私たちもいくつか当たりました。無料のサービスもありますし、いろいろ使ってみたのですが、どのサービスでも結局間違ったデータも出力されてしまいます。そんな中、Lazuli PDP®️は裏側でAIや自然言語処理が動いているため、付き合えば付き合うほどデータの精度が上がっていく。おそらくこういうサービスは他にはないかなと思っています。

北庄司:Lazuli PDP®️によるデータの中で一番役に立ったものは何でしたか?

戸枝:一番は商品説明文ですね。我々もメーカーさんにお願いをして、登録してもらうようにしたこともありました。けれども、結局メーカーさんにしても問屋さんにしても、あまりお客様の目に触れると思ってデータベースに入れていないので、集めたデータはECでは使えないんですよね。

北庄司:私たちのタグも、商品にある説明文や商品にある情報からAIで切り出して作り、それを戸枝さんにお渡しして使えそうなタグを選んでいただくというフローになっています。ボージョレ・ヌーヴォのシーズンやクリスマスシーズンといった季節のイベントに向けても、動的にタグを出していこうかなと考えています。

北庄司:Lazuli PDP®️を導入して、実際にどんな効果が出たか教えてください。

戸枝:先ほど話した戦略領域の一つがペット用品です。ECでもペット用品は扱っていましたが、非常に有名な商品くらいしか扱っておらず、商品説明文など無くとも安ければ売れる世界でした。しかし今はものすごく深い品揃えとなっています。今までだと、ペット用品だけでも数百SKUにも行かなかったのですが、数千SKUまで膨らんでいます。その商品登録は、一般的なスーパーだと商品情報を登録する人を募集するところから始めることになると思うのですが、我々はLazuli PDP®️の機能を使ったことであっという間に商品登録ができてしまいました。結果として、前期末のECのペット用品の売上は、繁盛しているリアル店舗など含めて、ベイシア全店舗中18位でしたが、先月で1位になりました。現在、ベイシアの中でペット用品を一番多く売ってるのは、ECだということです。

Lazuli PDP導入による詳しい効果はこちら

戸枝:現状としては、お客様はベイシアのサイト内で検索して買っているわけではなく、お客様が検索している中で、ベイシアの商品に辿り着いただけという状態です。すなわち、SKUはとにかく多ければ多いほど売上は比例します。直接サイトから選んでいるわけではないので、商品が増えたら選びづらくなるということもなく、片っ端から登録した方が今は売り上げにつながるという状況です。

北庄司:Lazuli PDP®️を活用して、商品マスタ、言い換えればデジタルで売るためのプロダクトデータを量産していったことで、このような成果に繋がったのかもしれないですね。

 

小売業でDXを進めていくために必要なこと

戸枝:2019年に創業2代目の土屋が「IT小売業宣言」を掲げて、まずはカインズが先行して数多くのデジタル人材を採用しました。池照(株式会社ハンズ 取締役)が中心となって採用していたんですが、埼玉の本庄市に本社がある企業に、どうしたらデジタル人材を連れてくることができるか試行錯誤し、様々な制度設計をして、結果、数多くの人材が採用できています。その時のやり方を真似して、ベイシアでも、フルリモートや週2回出社でも良いというように制度を変えたりすることで、デジタル人材を採用していきました。

そういったデジタル人材獲得のための努力も続けていくつもりですが、一方でシステムに投資することで解決できることもあると思っています。もちろん、商品登録のために人材を採用することも一つの手ですが、採用は簡単なことではないので、状況に応じて、Lazuliへ投資をしたほうが事業成長を早められるのではとも考えています。

北庄司:DXという言葉はよく聞きますが、私はDXは人材・採用の部分が根本的にあって、そこへ追加して、商品マスタをちゃんと整備することが必要だと思っています。そして、いろんなBIツールは商品マスタの整備をしたうえで、導入しないと無駄になってしまうと思うんです。

私たちのミッションは『情報流通を変革する』ことです。そのためにまず重要となってくるのが、商品マスタの整備だと考えています。今回のベイシアさんの成功例は、人材採用や商品マスタなどの情報整理など、ベイシアさんだからこそできるというわけではなく、どの会社でもできる部分が多いかと思いますので、みなさんと一緒に改革にトライさせていただけると嬉しいです。ぜひお声がけください。

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